" 漢方医学に関する間違った常識! "

 ・ 漢方医学の基本的な
    原理

 ・ 漢方医学的に見る体質
   医学!
 ・ 漢方治療の効果がある
   疾患
 ・ 漢方医学に関する間
   違った常識!
 
 
 
漢方医学に関する間違った常識!

Q : 補薬(強壮剤)は春と秋に服用すると效果があって、夏には汗と一緒に補薬の成分が抜けてしまうので效果がないと言いますがこれは根拠のある常識なのでしょうか?

A : 根拠のない話です。20世紀の初め頃はまだ韓国の祖先たちの生活は劣悪でした。その祖先たちは蒸し暑く、流行病にかかりやすい夏や寒さの厳しい冬にでも耐える事ができる健康な体を維持するために春、秋には体力補強剤を服用していました。
ここであえてこのような話をするのは、その昔に補薬を飲むことができた人は極めて制限された極わずかな人であったからです。それは村の長者様や、裕福な両班(韓国の貴族)の人達に限られていました。しかし、その中でもくすりを飲む事ができたのは家の主人だけで、家臣たちはその残り物にあやかることすらできなかったそうです。
しかし、その貴重な補薬をいたまないように保管して置くのに適当な場所がありませんでした。汗によって補薬の成分が一緒に抜けてしますと言う話は誰かに聞かれたらとても恥ずかしくなるほど無知な考えです。汗は私達の体の体温調節をするために排泄されるものです。どうしたら栄養分が抜けることがあろうか?人体が生命を維持するために行う生理現象はそれほど粗雑なものではありません。もし冬に補薬を服用するのであればその厳しい寒さに部屋の中に置いておくこともできず、庭先や台所に置いておいても寒さに勝てず、補薬の包み紙を一日中置いておくでしょう。暖かい場所に保管するのも難しく、低い温度のため薬の入った瓶が凍って割れてしまう事もありました。したがって夏と冬に補薬を服用するというのがそれほど容易ではありませんでした。
体の機能を調節するのに季節が問題になることはなく、最も適した時期は体の生理的機能の不調和で抵抗力が弱くなった時です。

Q : 補薬(特に鹿茸)は病気にかかった時に服用すると病気を促進してさらに悪化するというのは根拠がある話なのでしょうか?

A : 補薬は五臓六腑の生理的な不均衡、つまり虚と実を調節して補強してくれる效能をもたらします。したがって補薬は病気により体の生理的なバランスが崩れて抵抗力が弱くなった時に、臓や腑を補強して病気を治癒するので病気にかかった時に補薬を服用することはむしろ賢明な治療法だと言えます。
ただし、急性の病気の初期であるとか発熱がひどい時には服用をひかえた方がいいでしょう。
病気にかかっている最中に補薬を服用すると病気を促進するというのは誤った常識であると言う事がわかったと思います。むしろ全ての慢性疾病には詳しい診断による補薬は病気を治癒する一番の近道だと言えるでしょう。

Q : 鹿茸が添加された補薬を飲むだけで下痢になることがあるのですが、鹿茸が体質にあっていないのでしょうか?

A : 上のような身体的反応が現れる人は約90%が体がやや大きく堅実で、汗をよくかきます。残りの約10%は痩せ型で冷え性の体質です。鹿茸の成分を見ると服用した際に下痢をする理由は見つかりません。牛肉スープなどを考えてみてください。同じように鹿茸も動物性なのでこのような料理を食べる時のように下痢や消化とは無関係だということが分かるはずです。鹿茸は思想体質分類で見ると「太陰人」の代表的な薬です。体がやや大きい人の殆どが太陰人だといえます。上の90%の体質が鹿茸が入った薬を服用して下痢をした場合は鹿茸に問題があるのではなく、処方が誤っている場合がほとんどです。

最近では四象医学のおかげで補薬を服用して下痢をするという例は非常に珍しくなったの事実ですが、太陰人補薬に造血機能を高めるために少陰人の薬である「当帰」や「川?」などを処方したり、体形が痩せている少陰人の体質を誤って診断して少陽人の薬を鹿茸と一緒に投薬した場合に上のような副作用が発生します。鹿茸だけでは下痢のような副作用を引き起こす事はありません。そしてさらに知っておかなければならない点は、動物性漢方薬は便宜のうえから体質別に分類することはありますが、動物は強い解毒器官である肝臓を持っているのでそのそれ自体の毒性は非常に弱いです。

したがってどんな体質の人が鹿茸を服用しても效果面で体質によって多少の差はあっても、下痢をしたり血圧が高くなるなどの副作用を引き起こす事はほとんどありません。しかし植物性漢方薬である「草根木皮」はその植物の器官に毒を解毒するものがないので植物事態の特性(これを毒と表現する事もあります)を持っています。生薬は正しくこの特性を利用して治療に応用するため、できる限り体質をよく鑑別して処方することができます。
動物は私たちが調理して食べても大抵のものはどんな種類でも殆ど副作用がありません。例えば猛毒を持った蛇のコブラに噛まれたら生命を失う危険性が危険性があります。しかし、これを食用として食べることは何ら問題ではありません。しかしきれいな色の毒きのこを食べれば生命の保証はありません。このように、動物性生薬の処方は体質と無関係に処方されてもさほど副作用がないだけでなく、体質べつにほぼ同じような效果が現われます。一方、植物性生薬は必ず専門家の手によって処方されなければなりません。

Q : 子供が鹿茸をたくさん服用すると頭が悪くなるだとか、年寄りが補薬を飲みすぎると死ぬ時に苦しむというのは根拠ある話なのでしょうか?

A : 全く根拠がありません。育ちの良い子は普通の大人たちよりも良質の栄養素が必要です。その中で鹿茸は特にその成分内にパントクリン(Pantocrin)と呼ばれる質の良いホルモン成分が含まれており成長と神経系統を助ける働きをするだけでなく、漢方医によって五臓六腑の機能を補強する薬と共に構成された処方なら安心してもいいです。
鹿茸の含まれた補薬を子供の体が虚弱だからといって高麗人参などの体から熱を発生させる薬を多量に添加して長期間服用させると異常が発生することもあります。特に子供たちは人生に比喩すれば春にあたり、これは"推進"の時期にであり、絶え間なくその生理的な活動がなされています。常に熱が発せられている状態なのをよく理解していない漢方医が正確な処方をすることはできません。韓国では自分の専攻分野ではないにもかかわらず知ったかぶりをする人が少なからずもいるようです。道端で「私がある病気にかかったがどうすれば良いでしょうか」と聞いてみてください。自分の専攻が医学とは全く関係がないにもかかわらず、べらべらと自分なりの主張と処方を並べ立てるでしょう。しかし本当の正解「医師に相談してみなさい」です。
お年寄りにたくさん補薬を与えると、死ぬ時に苦しむとはよく言ったものですね。補薬を買うお金が惜しいのであればはっきりそう言えばいいものを。
韓国には「病気がちが八十」という古い言葉があります。この言葉をよく吟味すると、自分の体力を過信しないでいつも気をつけて、欲を出さないようにしなさいという意味になります。また一方では病気がちな人は病気にかかって粘り強く最後まで堪えることができるという意味もあります。だからお年寄りが亡くなる前に苦しまないで帰れるようにするために、漢方を飲ませてあげて体力を増強させて上げてほしいものです。
強い鉄も折れる時は一瞬にしてきれいに折れるものです。すなわち孝行をすればそれだけ報いもあるということです。ちょっと妙な話ではありますが、この地に新しい鉄砲がまだ普及されていなかった時代である約1870年以前は、王様も補薬を口にする事が簡単ではありませんでした。1870年代後半からは宮廷の宮内部の允許を得た御用獵師たちに新しい鉄砲で捕らえた鹿で鹿茸を作って王様に献上しました。しかしそれ以前には、鹿茸を採取する時期にはいくつかの村から百姓の男達が集まって鹿の猟をしていました。鹿をおびき出したところで弓矢で鹿を殺す方法で狩りをしていましたが、質の良い鹿茸とるのは大変な作業でした。こんな所でどうしたら力の無い子供や使い道のなくなったお年寄りまで順番が回ってこようか。上で紹介した言葉もこのような事情から生まれた言葉でしょう。

Q : 補薬を飲むと体が太るというのは本当ですか?

A : そのとおりです。しかしそうでないとも言えます。「そのとおり」だというのは親両の両方が肥えた体質で、その親から肥える体質の遺伝子を受け継いでいる子供が病的に弱くなって痩せている状態であるのを漢方治療で生理的機能を改善して消化吸収がよくなるように改善した時に食べすぎで太る事は極めて当たり前だと言えます。「しかしそうではない」というのは、漢方補薬の主な作用は営養分を供給するのではなく五臓六腑の弱くなった機能を改善するのですから漢方補薬で生理的な機能が改善して食べ物の消化吸収と新陳代謝がスムーズになるからといって親が肥満体質ではなければ太ることはないので「そうではない」のです。
したがって補薬それ自体だけでは太ることはないので、もともと肥満体質であっても補薬で機能が改善すした後、夕方食事のカロリーを注意していれば肥満を心配しなくてもいいです。

Q : ケソジュ(薬草スープ)、山羊鍋、テールスープ、鶏スープ、蛇スープ、かえるスープなどが体に良いといいますが実質的な根拠はあるのでしょうか?また、ウゴジソンジグック(白菜や大根の葉を乾燥させたものを煮詰めたものと生き血を一緒に煮たスープ)が二日酔いを治してくれる効果があるというのは本当ですか?

A : 上記の食品の中で栄養価のなさそうに見えるものは一つもないようなので食べて良くないものはないでしょう。しかしなぜこれほどまでに奇妙な食品をもとめる人が多いのか理解に苦しみます。そしてこれらの食品の多くは印象がよくないというところにも問題があります。このままだと雨が降った後にかえるの声が聞けなくなったり、かえるを獲物としている蛇の姿まで見れなくなるのではないかと心配になるほどです。
最初にケソジュ(薬草スープ)ですが、なぜケソジュと呼ぶのでしょう。(韓国語でケとは犬の意味)焼酒という蒸留酒の代名詞です。
蒸溜はマッコルリ(韓国の濁酒)のように濾すと言わず、おろすと言います。同じように今でも韓国の田舎に行くと昔からの方法で湯煎をして藁をさして垂れてきた蒸気で作ります。その色が焼酎と同じ無色透明であることからケソジュ(ソジュとは焼酎の韓国語)と呼ばれるようになりました。
このような方法で製造された本物のケソジュを昔は肺結核の患者や肝硬化、胃癌患者などに飲まれており、効果も見られました。しかし問題はケソジュが昔の製造方法で作られなくなったということではなく、漢方医学とは全く縁のないケソジュを売っている主人によってケソジュの製造時に多量の漢方薬が処方されるという点にあります。これは実に危険なことです。
ケソジュでなくとも犬の湯煎か、漢方補薬も一緒に入れたいのであれば漢方医に診てもらい処方を受けて犬肉を入れて食べようが、あるいは漢方薬は抜いて生姜、ナツメ、乾栗(乾燥した栗)、ニンニクそして玄米、もち米などを入れたほうがむしろ良いでしょう。それではなぜ犬肉の鍋が特に夏に滋養強壮の代表的な特効食品として誤解されることになったのかをよく見ていきましょう。
韓国では古くから、特に夏場の伏日(夏の最も暑い日)に食べることがどのような意味があったのでしょうか?春に食べる物がなくて大変な時期に松の樹皮をかじって飢えを耐えしのぎ、それでも重労動をせざるを得ない時に隣り町で密かに捕らえてきた犬を食べ栄養失調から逃れていました。犬肉の鍋を食べた晩には男達も活力が沸いてくるので、精力増強食品としてもてはやされたのかもしれません。
ところでここでも韓国の先祖達の共同体意識の知恵をうかがい知る事ができます。それは犬を調理する前に木にぶら下げて棒で叩けば叩くほど旨みが増すといわれ、無慈悲にも犬を叩き殺していました。筆者もいまだにその頃の記憶が鮮やかに残っていますが、叩かれている犬の悲鳴がどれほど大きく切なかったことでしょう。町中に響くその悲鳴を聞きつけて人々が群がってくるのは当然の事でしょう。食事は一人で食べずにみんなと一緒に分けあいながら食べなさいとい悲しい教えです。教えが間違っているとは言いませんが犬の気持ちを考えると心が痛いです。栄養失調の状態で食べた犬肉の効能が誤って伝えられたおかげで今日まで犬肉を好んで食べる習慣がついてしまったようです。犬肉に他の動物にはない特別健康に良い成分が入っていることは決してありません。犬肉が好きな人々は体が疲れている時に滋養強壮のためにケソジュを好んで飲みますが、このような人々の中には慢性肝臓疾患である人が多いので、正確な診察に基づいた処方の薬ではない漢方薬が添加されたケソジュがかえって肝臓の機能を害する恐れがあるので注意しなければなりません。

山羊鍋、蛇スープ、特に黒山羊はその色が黒いため陰に属し、陰と陽のうち女性は陰に属するので女性の気力をよくする食材に選ばれます。また、このように理解している人が多いようですが、これは全く根拠のない話です。
病気にかかったら治療すれば良いし、機能が弱ければ体の機能を改善する補薬を飲もうが、ロースやヒレなど上質でお値打ちな牛肉や豚肉、鳥肉などを食べても充分に栄養が取れるのによりによってなぜ、山羊鍋、蛇スープなのでしょうか?
テールスープ、鶏スープそしてウゴジソンジグック。約70年前に韓国の先祖達がどれほど貧しい生活をしていたのか想像した事がありますか?50歳以上の読者であればそれほど遠い昔の話でもないでしょう。その頃には村に住むような一般市民達は一年に牛肉スープ1杯も食べれませんでした。にもかかわらずその頃の記録を見ると、田舎に住む子供達の十二指腸虫の平均保有数が驚くことに平均80余匹を超えたといいます。たまにアフリカのエチオピアやウガンダなどの子供がお腹だけがふくらみ、手足はやつれている様子をテレビで見ますが、祖先も昔はそのような時期があったといったらすこし大げさなのでしょうか?
ある日町の長者様の家で婚礼があると料理に牛や豚がもてなされ、仕事をした代価や等級によって、肉の部位が振り分けられます。もちろん等級が高ければ高いほどその待遇はいいです。牛の足や、尻尾まではまだいいにしても、それよりも下の等級になると、牛の内臓、そして最下位等級になると捨てるつもりだった鮮血(生血)が与えられました。それでも家族全員が集まって食べる骨でだしをとったスープはどれほど美味しかった事でしょうか。
急に摂取されたたんぱく質と骨から湧き出たカルシウムなどにより力が湧いてくるのは勿論のこと、精力も沸いてくるので精力増強剤という誤認が生まれたのかもしれません。スープの中に入れる材料がないので垣根の上に乾かしておいた大根の葉や白菜の葉を入れて沸かしました。また、部屋の片隅で育てていた大豆萌やしを一握り入れてしっかり煮込んだソンジッグックを飲んだらどんなにか幸せな気分になれたことかわかりません。このような悲しい出来事が今日の妙な食生活慣習を作り上げていると感じる事があります。どんな民族のどんな人にでも珍らしい食慣習と癖などがあり、それが伝統や特徴になることもありますが、一方で誤った慣習であることがわかったらその習慣を改善する知恵と勇気も必要だと思います。

 
 仁堂漢方医院は頭痛、にきび、アトピー性皮膚炎、スタミナ専門です。 ソウル市 江南区 駅三洞 832-3 永信B/D 501
TEL : 82-2-557-3906/7 FAX : 82-2-552-5344
E-mail : indang@zutuu.com