" 頭痛の漢方医学的治療 "
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治療の難しい疾患

   頭痛の漢方医学的治療

Q : 頭痛治療に関する漢方療法の特徴はなんですか?

A : 漢方治療療法の特徴は、頭痛を感じさせる痛覚神経を一時的に鎮静させる原始的な治療方法ではなく、頭痛の発生機転を改善する根本的な体質改善療法です。従って、再発することはごくまれです。そして、体全体のバランスを類機能的な原理で調節することにより胃腸障害などの副作用がないのが特徴です。漢方医学では頭痛を頭だけの病気とは見なさず、体全体の機能の不調和とから発生するものであると考え治療するので体全体の健康を維持するという特徴があります。

Q : 漢方ではどのような原理で慢性的な頭痛を治療するのか教えてください。

A : 突然頭痛が始まり時間が過ぎると、自然に良くなっていく状態が繰り返されるものを、一般的に慢性頭痛と言います。慢性頭痛がある場合、西洋医学では普通頭痛を抑える(頭痛を感じさせなくする)ための痛み止め薬を投与します。

痛み止めの薬は、即効性があるため短時間で症状を抑える事ができます。しかし、頭痛の原因を根絶やしにする事はできません。時間が経過するにつれて痛み止め薬の血中濃度が落ちて薬効が弱くなり、再び頭痛を感じ始めるという点が問題です。このため慢性頭痛で苦労している人の中で西洋医学に頼って治療を受けている人は痛み止めの薬が手放せなくなるのです。また、痛み止めの薬の副作用のために胸焼けがしたり、気分が悪くなったり、胃腸が痛くなる等の胃腸障害も起こしやすいです。特に胃腸が弱い人は、痛み止めの薬の乱用によってもっと大きい病気にかかる可能性があるので注意しなければいけません。

このような西洋医学で用いられる薬とは対照的に、漢方薬は一時的に頭痛を抑える治療方法ではなく、頭痛を引き起こしている基となる原因を整理し、頭痛が容易に発生することのないように体質を改善する治療に主点をおいています。従って、即効性の短期療法というよりは継続的な改善治療で、身体が生理的に頭痛を起こさないように体質を変化させる治療方法を施します。漢方療法は胃に負担を与えることなく虚弱な体質を改善させる効果を持つ医学であるので、体が虚弱で体質と胃腸機能が弱い頭痛患者(慢性頭痛の70%程度が胃機能が虚弱である)の治療により効果を発揮します。

Q : 頭痛治療における漢方の基本原理を教えてください。

A : 漢医学では人体を構成する基本的な要素を「気」、「血」、「水」と定義し、これらの生理的なバランスの状態によって疾病発生の有無を判断します。つまり、漢医学の見地からですと「気」、「血」、「水」のバランスの不調和が頭痛を誘発させると考えるわかけです。

「気」とは、元気、気運、気分などのように目に見えないエネルギーのようなもので、生命力、つまり生命活動の源泉と考える事ができます。気が弱くなると身体だけでなく精神活動も低下します。

「血」とは、血液として体の隅々まで栄養分とその重要な酸素を供給し、老廃物を運搬するだけではなく、ホルモンの活動を調節する等の重要な役割を担当しています。この「血」の機能が円滑でなくなると体のバランスが崩れます。生理不順の場合に頭痛がよりひどくなるのはこのような原理によるものです。
「水」とは、単純に水分だけを指すのではなく、リンパ液のような細菌やウィルス等から体を守るための免疫機能までを広範囲に含んだ概念です。「水」は体の70〜80%を占有しています。「水」が隅々まで各器官が生理的に均衡を保っている場合は問題ありませんが、一部分に偏ったりすると病気が発生しやすくなると考える原理です。このような症状を漢方では「水毒」といって、最も重要な症状として分類されています。
この「気」、「血」、「水」意外にも様々な漢方特有の病因原理があり、これらを調合して総合的に診断し、患者個人個人の体の状態に適した処方箋を出しています。
漢方では頭痛を病気としてみたり神経性として見なしたりはせず、純粋に症状として見ます。従って、一人一人の病気の原因を究明し、その人だけにあった最適な治療を施す事が可能であるため、病気の再発を防ぐことなども難しい事ではありません。

Q : 漢方の診断と処方の特徴について説明してください。

A : 漢医学では患者の自覚症状を最も重要視しています。漢医者がみる患者の 状態、脈診、又は腹診等を合わせ、特に患者の体質鑑定と病気の陰陽の状態の鑑別を通して、総合的な生体バランス維持に必要な類機能的な思考方式を用い複合的に処方を構成します。

・慢性頭痛の診断、処方を例にあげると次のようです。
- [頭痛]の性質と状態はどのようなものであるか。
- 日常、体が冷えているか、特に手足が冷たくしびれるか。
- 体のどこかに熱感を感じるか。
- 消化がよくできているか。
- 便秘はないか。
- 背が高いか、低いか。
- 骨が太いか、細いか。
- 体がやせているか、太っているか。
- 患者の筋肉の緊張の程度はどうか。
- 顔が蒼白であるか、赤いか。
- 元気があるか、ないか。
主にこのような診断、処方を細かい部分まで時間をかけて具体的に観察します。

(1) 気が不調で慢性頭痛を起こしている場合:神経性疾患である火病の場合と、また試験前の受験生などに代表的に多く現れます。

(2) 血が不調で慢性頭痛を起こしている場合:更年期や出産前後、整理不順、貧血など[血]の不調によって発生する頭痛なので、血剤をもって処方します。

(3) 水が不調で慢性頭痛を起こしている場合:手や足、顔のどこかから浮腫ができ頭痛が発生する場合は、水が不調なために発生する頭痛なので、水剤で処方します。
このように漢方では頭痛を治療するにおいて、その原因を症状別、体質別などに区分するので、患者によって処方が相異するのが特徴です。

Q : 慢性頭痛の代表的な処方を教えてください。

A @ 気に問題がある頭痛表証(表証:身体表面の気循環が悪化した風邪など外因性疾患の場合)

* 葛根湯 --- かぜの初期に使用する処方として、その症状としては、体表の気の循環が悪くなり、鼻水、発熱を伴う頭痛に効果があります。
* 葛根湯加辛夷川 --- かぜの初期の蓄膿症を伴う頭痛に効果があります。(寒証:体が冷たく気循環が悪化した場合)
* 呉茱萸湯 --- 偏頭痛に使用される代表的な処方として、体を暖かくする作用が優れています。
* 桂枝人参湯 --- 手足、腹部が冷たくて下痢をし易い体質の場合。
* 當帰四逆加呉茱萸生姜湯 --- 慢性頭痛で手足がとても冷たく、足が冷えやすい場合。肝気鬱血(自律神経失調)
* 紫胡加龍骨牡蠣湯、紫胡桂枝湯 --- 精神神経衰弱及び不安神経症を伴う場合。
* 釣藤散、抑肝散---精神神経がとても興奮している場合。
* 三黄瀉心湯、黄連解毒湯、温清飲 --- 顔に熱を感じて顔が赤く、鼻血がよく出る場合の頭痛は血に問題がある頭痛血液循環が悪い状態で、漢方ではこれを皮下にできるあざと言います。
* 桂枝茯苓丸 --- 健康にみえる体型で顔色が赤く、便秘の傾向がある場合。
* 當帰芍薬散 --- 貧弱に見える体型で顔色が青くて、大便が柔らかい場合。
* 加味逍遥散 --- 更年期障害を伴う場合。

水に問題がある頭痛

* 五苓散 --- 水のバランスの不調和が原因の場合の代表的な処方として、二日酔いにも驚く効果が表れます。
* 當帰芍薬散 --- 整理不順、冷え性、浮腫などを伴う場合。
* 半夏白朮天麻湯 --- 胃機能の虚弱な体質で目眩がひどい場合の頭痛。
以上のように、頭痛の症状を細分化してその症状と体質に合わせて、個人個人に特定した処方をするため副作用を最小限に抑えることができます。漢医学の原理に基づき処方すれば10年以上の慢性的な頭痛も驚くほど解決することができ、再発も防ぐことができます。これは全て漢方治療の特徴であり、このような処方の中でも五苓散と呉茱萸湯は頭痛に関する聖薬といっても過言ではないでしょう。

Q : 現在までに知られている頭痛の原因をわかりやすく説明してください。

A : 今までは慢性頭痛は精密検査をしても何の異常も発見されないことがほとんどでしたが、診断技術の発達によって下記のような原因を推定することができるようになりました。
1) 血管の拡張
何らかの原因(私はこの原因を酸素不足とみています)によって脳血管が一時的に収縮し、その2〜3分後に直ぐ脳血管が拡張されるので、血管に網のようにかぶさっている神経が刺激されて頭痛が起きます。慢性頭痛の原因の中で約70%がこれに該当します。
2) 頭蓋骨内の痛覚刺激
脳膜下出血が原因になり、神経が圧迫されるために頭痛が発生します。
3) 頭蓋骨外の痛覚刺激
頭蓋外の異常が発生した場合です。例えば、後頭部にひろがっている大後頭神経と呼ばれている太い神経群に神経痛が発生し発病します。
4) 心因
神経過多やノイローゼ、躁鬱病など心理的な原因によって発生します。
5) 放散通
蓄膿症など鼻の病気や極度に目が疲れて発生します。
6) 筋肉の収縮

頭蓋骨周囲には首の周りの筋肉、肩の筋肉など多くの筋肉が集まっていますが、この筋肉が極度に緊張することにより発生します。慢性頭痛の半分以上が、酸素不足による影響でこのような筋肉の収縮を引き起こし発病します。

 
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